サイコーに愛しいお姫様。
「えぇ?!花梨ちゃん気付いてたんだ!」
今日はきちんと定時に帰らせてもらえて今はなおと行きつけのレストランにて食事中。
「勘のいい女の子だよな。名字とハンカチと指輪だけですぐ気付くもんかな?」
なおはグラスに入ったシャンパンを飲んで窓の景色を見る。
「女って好きな男のことめちゃくちゃ見てるからさ。些細なことでも気付くんじゃない?」
「そんなもんなんだ。でもよかったな。すごいいい子でさ」
なおは頬杖ついて俺の顔を見てため息をつく。
「花梨ちゃんは私とあんたに気を使わせないために精一杯の笑顔で話したんだよ!本当に女心を分かってない男だな!」
「あ……そうなの?」
自分では恋愛経験ないとか言っておいて人の恋の相談になるとめちゃくちゃ相手の気持ちになって考える女。それがうちの姫。
「またふっきれた時には……私を指名してきてくれたら嬉しいな」
「絶対来てくれるよ。なおみたいな美容師……なかなかいねーよ」
少し笑ってまたシャンパンを飲み干した。左手の薬指にはきちんと結婚指輪をつけて……
俺、嬉しいよ。なおも俺の左手薬指を見てなんだか嬉しそうだった。