短編集
「ごめんなさい・・・」
小さく呟かれた謝罪の言葉。
彼女がどんな意味で言ったのかなんてだいたい予想がつく。
あたしはそんな祈に気にしないでというように苦笑いで応えた。
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「んじゃあ、俺帰るわ〜!」
「あたしも明日仕事早いからお先に」
「また集まろうな!」
「ばいば〜い!」
少しずつ店内から人が消え、奈々瀬達がいた部屋からもチラホラと帰宅する人たちが立ち上がっていた。
結構お酒が入っている人もいて、恋人に迎えに来てもらってたりフラフラしながら友達に支えながら帰る人達もいた。
「あたし達も帰りますかな」
奈々瀬と一緒に会話を楽しんでいた女友達や祈も帰る準備をすると、自分も車の鍵や財布などが入っている鞄を肩にかけ、帰る支度をした。
そんな中、ふと離れたところで座っている晴斗と目が合った。
「奈々瀬、帰るの?」
お酒が大分入っている市原達と違いそれほど飲んでいないのか、まだ酔っていない晴斗が離れたところに立っている自分に声をかけた。
「うん。人少なくなって来たし、運転してかなきゃだから」
チャラ。と車のキーを顔の近くで見せると、晴斗は
「じゃあ、俺も帰る」
と、飲んでいたお酒を飲み干して立ち上がった。