クローバー
「見て! 四つ葉のクローバー」
ユリは水色のノートに挟んだまま、それを僕の鼻先に差し出した。
「幸せになれるんだってよ。シュンタくんにもらったんだ」
屈託なく顔をほころばせるユリ。
ユリは甘い砂糖菓子のような女の子だ。
長いまつげにふちどられた大きな瞳にまっすぐ見つめられると、僕はなんだかどきどきしてしまう。
シュンタっていうのは、勉強も運動もよくできてクラスのリーダー的存在。
誰からも好かれる人気者。
僕とは正反対のタイプ。
シュンタがユリに気があるんじゃないかって噂を聞いたことがある。
確かにユリにいつもやさしい。
二階まで階段上がるのもしんどいユリのために、毎朝ランドセルを持ってやっているのはシュンタだ。
本当はさ、僕がやってやるつもりだったんだ。
それをシュンタが横から割り込んできて…。
僕の中でどろりとした汚い塊が破裂した。
「そんなことあるわけないじゃん。ばっかじゃないの!」
そんなこと言うつもりはなかったんだ。
ただ、嬉しそうな君の顔を見ていられなくて…。
僕は、ノートごとひったくって二階の窓から下に放り投げた。
「ひどい! 何するの!!」
ユリの泣き声が耳をつんざく。
ユリは水色のノートに挟んだまま、それを僕の鼻先に差し出した。
「幸せになれるんだってよ。シュンタくんにもらったんだ」
屈託なく顔をほころばせるユリ。
ユリは甘い砂糖菓子のような女の子だ。
長いまつげにふちどられた大きな瞳にまっすぐ見つめられると、僕はなんだかどきどきしてしまう。
シュンタっていうのは、勉強も運動もよくできてクラスのリーダー的存在。
誰からも好かれる人気者。
僕とは正反対のタイプ。
シュンタがユリに気があるんじゃないかって噂を聞いたことがある。
確かにユリにいつもやさしい。
二階まで階段上がるのもしんどいユリのために、毎朝ランドセルを持ってやっているのはシュンタだ。
本当はさ、僕がやってやるつもりだったんだ。
それをシュンタが横から割り込んできて…。
僕の中でどろりとした汚い塊が破裂した。
「そんなことあるわけないじゃん。ばっかじゃないの!」
そんなこと言うつもりはなかったんだ。
ただ、嬉しそうな君の顔を見ていられなくて…。
僕は、ノートごとひったくって二階の窓から下に放り投げた。
「ひどい! 何するの!!」
ユリの泣き声が耳をつんざく。