クローバー
放課後だったけど、教室にはまだ何人かが残っていた。

「どうしたの、ユリ?」

数人の女子がユリを取り囲む。

泣きじゃくるユリを見て状況を把握したようだ。

「コウタ! なんてことすんの!!」

「せっかくシュンタくんがユリにプレゼントしてくれたのに」


女子の剣幕に押されて、僕は後ずさりする。

それに『シュンタ』という名前が出たことになんだかカチンときていた。


「わかったよ。拾ってくればいいんだろ!!」



なんで、そんな言い方しかできないんだろう。

一言「ごめんね」ってあやまればいいのに。



でもね、くやしかったんだ。

シュンタからのプレゼントをユリがあんなに嬉しそうに持っていたなんて。

腹がたって仕方なかった。



僕は力任せに教室の戸を開け、飛び出した。



階段を駆け下りている間も、ユリの泣き顔がなんども頭に浮かんでいた。

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