クローバー
教室の窓の下の花壇の中に、水色のノートが見えた。

ユリのノートだ。

マリーゴールドを踏まないように、土のところを選んで入り、ノートを拾った。



けれど、四つ葉のクローバーはどこにもなかった。




「ちょっと、あったの?」


数人の女子がユリを取り囲みながら、僕を睨みつける。

あのあと下に降りてきたのだろう。


「それが…」


からっぽのノートを確認した女子は、僕に詰め寄る。



「なんてことしてくれたの!」

「あんた、ユリの気持ち考えなさいよ!!」

「ユリにもしものことがあったらどうするのよ!」




僕の体が凍り付いていた。



――ユリは明日から入院することになっていた。
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