闇猫



「……闇猫でも、隼人は殺させないぞ」



陸があたしに腕を伸ばしてきた



「……クソッ。失敗した」



そう呟いてから、身を翻(ひるがえ)して部屋を逃げるようにして出た



1階では、あたしを見たやつらが驚いている様子が目に入った



中には、あたしの名前を叫んでいるやつもいた



けど、それらの中の1つも反応することなくあたしは倉庫から出る



走って走って、ひたすら今川の事務所を目指した



でも、走りながら今までに体験したことのない思いを感じた



今までだって、いっぱい裏切ってきたじゃない



当たり前のように裏切ってきたじゃない



それに対して、罪悪感なんてなかったのに



……ねぇ、どうして






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