闇猫



「……あたしは、捨て子なの。7歳の時に今川に拾われた。その時に付けてもらった名前が雨宮ハルヒ。15歳から闇猫として活動してきた。……まずは、あたしの基本情報ね」



そう言って、彼女は間を開けた



少ししてから、息を吸ってまた話し出す



「……氷月高校に来た理由は簡単。今川に依頼があったの。『氷龍の情報を取り、神崎組の若の命を奪ってこい』って。



あたしは、氷龍の情報と隼人の命を奪うためだけに来たの。友情とか、仲間とか、そんなのは要らないし作らないはずだった。



だけど……。今までに芽生えたことのない気持ちが生まれた。友情、仲間。大切にしたい。こんな風に出会いたくなかった。そんな思いが溢れてきた。



だから最後の日。情報は全部奪うことが出来たけど、隼人の命は奪うことが出来なかった。……初めてだった。心が動いたのも、仕事が失敗したのも。」



「……転校した後は、アメリカに居たんだろ?」



隼人の言葉に、彼女は「なぁんだ、わかってたんだ」と呟いた






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