死せぬ者
「どっちもすんな!俺はガキか。」
「あぁ。そういうところがな。」
「うーーーっ!!」
冷静に返す男にアドロフが唸った。
「命令は済んだ。基地に戻るぞ。」
「解ってる。」
そして、二人は基地に向かった。

軍の基地はいくつかあり、それぞれに番号が振り分けられている。
部署によって割り振られており、基本的には他の番号の基地には行かない。

——5番基地。
それが、所属する場所だ。

「帰ったぞー!」
元気にアドロフが入ると、その場の人々が振り返る。
「おう、アドロフ。相変わらず、元気が有り余ってるな!」
「ふん!あのくらいでくたばってられないね!!」
「とかいって、サボってたんじゃねぇだろうな?」
「何をー!!」
大男が話しかけ、アドロフがムキになると周りが笑う。
「お前もなんか言ってやれよー!」
「なんか」
「そうじゃねぇ!!」
真顔で男が言うとアドロフは益々ムキになった。
「ヴォルフラム、友達に意地悪しちゃだめよ?」
奥から女性が出てきて、男を嗜める。
「意地悪ではない。要望に応えたまでだ。」
「もう。」
ヴォルフラムと呼ばれた男に女性が膨れっ面をする。
「味噌汁」
名前を呼ぶようにヴォルフラムは女性に言う。
「味噌汁じゃない。」
「……たくあん、がいいか?」
「……」
女性は黙る。
「朝食で呼ぶの、やめてよ。」
そう言う女性を無視して、ヴォルフラムは女性の匂いを嗅ぐ。
「………オムライス。」
「流石、鋭いわね。食欲魔人。」
「オムライス。」
「はいはい、出来てるわよ。」
女性はため息混じりに言う。
アドロフは微笑ましそうに見ている。
「取り敢えず、二人共、着替えてらっしゃい。血腥い。」
「ん。」
「はーい!」
二人は着替えに行く。
「はい、アリシア特製オムライスたべるひとー!」
女性が言うと、口々に“はーい”と返事をする。
それを聞いて、アリシアと名乗った女性は台所へ向かった。

着替え終わった二人は食事をする。
「それにしても、もったいねぇなー。」
「え?」
ヴォルフラムとアドロフが並んで座る向かいにアリシアが座ると、アドロフは言う。
「だって、こんな身勝手野郎が恋人だもんなー。俺にしねぇ?ア・リ・シ・ア・ちゃん♪」
「貴様……」
アドロフに殺気を込めてヴォルフラムが睨む。
そして、首を絞める。
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