闇に棲む猫はヴァンパイアに捕まる
『後でわかることだよぉ。』
「けちぃ。」
そんな会話をしていて、私はふと夜空を見上げた。
完全な闇に染まった空に一つの月が孤独に輝いていた。
その月は孤独だけど暗闇の街を優しく光を照らしていた。
「今日は歩いて帰りたいな。」
そう思った私はおもむろに鞄からスマホを取り出し、倉本さんの番号を押した。
『はい。』
「翠玉です。今日の迎えはいりません。歩いて帰りたい気分なので。」
『かしこまりました。ご主人様には私から申しておきます。なるべく早いご帰宅を。』
「はい。わかりました。」