闇に棲む猫はヴァンパイアに捕まる

腕の中に眠っている、この小さな命。


このふわふわモコモコ柔らかな黒い毛。


「ヵヮィィ。」


『翠玉。にゃんこ。好き?』


好き?


「好き……ねぇ。好きって何?」


私の精神は何処か抜けている。


どこが抜けているのかも分からない。


あの時あの日から私は何処か欠落した。


だからそこら辺の人間の普通の感情と言うのが分からない。


『好きねぇ。私達もそんな事経験した時なんてないからなぁ。』


『色んな好き。ある。』

< 130 / 466 >

この作品をシェア

pagetop