闇に棲む猫はヴァンパイアに捕まる
腕の中に眠っている、この小さな命。
このふわふわモコモコ柔らかな黒い毛。
「ヵヮィィ。」
『翠玉。にゃんこ。好き?』
好き?
「好き……ねぇ。好きって何?」
私の精神は何処か抜けている。
どこが抜けているのかも分からない。
あの時あの日から私は何処か欠落した。
だからそこら辺の人間の普通の感情と言うのが分からない。
『好きねぇ。私達もそんな事経験した時なんてないからなぁ。』
『色んな好き。ある。』