闇に棲む猫はヴァンパイアに捕まる

しかも私は精霊、今は人間の姿とはいえ中身は前と変わらない。


だから生きていく時間も違うんだ。


本気の恋は許されない。


(町娘にでもなってたらこの人に逢えただろうか。)


「桜鈴。」


「なんでありんすか?一はん。」


「……好きだ。」


「え。」


その人はそう言って、わっちにキスをした。


まるで、お互いが初めてのような軽いものだった。


目を見たらそれは遊びの目ではなく本気の目だった。


「一はん。」

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