闇に棲む猫はヴァンパイアに捕まる

『だめよ。この子は貴方が思っているよりも鼻が効くんだから私の幻術よりもカメレオンの能力を持つ貴方じゃないと警戒心を解いてくれないわ。
だから胡乱(うろん)、あなたの能力が必要だったの。』


『そのおかげで俺の手に傷を負ってしまったんですが?』


『そんなのどうでもいいわ。この子が私の側へ来てくれるなら。』


『こいつは一体誰なんだ?』


『後で教えるわ。今はこの子をあそこへ連れて行かないと。お父様に怒られてしまうわ。』


『了解。』


ロリナルシ野郎は意識を失った翠玉を抱き上げてその場を去ったが暁と呼ばれた女だけはその場に残っていた。


男の方が居なくなるとその女が俺のいる方向を見て


「出てきていいよ。斑。」

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