闇に棲む猫はヴァンパイアに捕まる
自分の力がなくなっていく中で私は絶対に死火ちゃんを離さなかった。
だんだん意識も薄れていって…
私達キメラはこいつらに逆らうことはできないんだろうか…
力はどんなにあっても私達の知識は所詮子供の時に止まったままの幼稚な考えだ。
どこまでもあくどい大人の知識には決して勝つことはできないのだろうか…
「この研究を進めていく中でお前達キメラの研究だけをしている短調な奴らだと思っていたのか。こいつらを研究所の最終実験室へ連れていけ。記憶も感情もすべて消すんだ。」
「ですが!その段階はまだ調整段階です!!」
稜牙が声を荒らげて反論しているのが視界の隅に見えた。
「いいから行くんだ!!失敗しても構わん。その時は予備の奴らを使え!成功するまでやるんだ!!!」
(この世界はどこまでも腐っている…九条憐。ここから先は頼んだぞ。
死火ちゃん…この研究で犠牲になった子供たち全てを救ってくれると信じてる。
そして…これから完全体となる私を止めてくれ…)
意識のある中で最後に見たのは総一郎のニヤリと笑った狂気に満ちた笑顔だった。