闇に棲む猫はヴァンパイアに捕まる

「なにか言い残すことはないか?」


こんなことはもうやめてほしい


元のあなたに戻ってほしい


「はあ・・・はあ・・・」


もう意識を保っているのが精一杯だった。


「もう話すこともできないのか。まあ仕方ないか旧型のお前とは、性能も能力もすべて違うんだからな。」


胡乱は元々こんな性格ではなかった。


私の知っている胡乱はとても優しかった。


こんなになった私でも優しくしてくれた。


『暁、今日もお疲れさま。よく頑張ったね偉い偉い。』


でも・・・私はこの人の本名を知らない。


研究所にいる研究員は名札をつけていない。


そして私たちと同じキメラになるときは戸籍から抹消される。


と同時に名前も奪われる。


もうこの人の本名はわかることはない。


毎日つらい実験にもこの人の言葉で私は救われたんだ。


頑張れたんだ。


そして、私はこの人に・・・恋をしていたんだ。





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