闇に棲む猫はヴァンパイアに捕まる


この人のためだったらどんな実験でも何とか耐えられた。


このことは死火ちゃんも知らないこと。


本当は妹のようなあの子と一緒にこんな話をしてみたかった。


でも日々の実験に疲れ果てそんな話もできるわけがない。


生きていくのにやっとなのだ。


精神的にも、肉体的にも。


一般的に使われているねずみやモルモットよりも感受性をもっているからはるかにつらいのだ。


あの時は胡乱の笑顔があった。


あの子が逃げ出した時だって


『大丈夫。死火達はすぐに帰ってくる。その間に暁は頑張って死火が帰ってきたときに自分がここまで頑張ったんだぞって驚かしてやればいいんだ。』


『死火ちゃんは私は死んだことになっているのに?』


『この実験が成功したら実践に参加できるようになる。その時に実は自分は生きていたんだってダブルドッキリしちゃえばいいんだよ。』


『そっか!!』


『これで頑張れるかい?』


『うん!』
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