闇に棲む猫はヴァンパイアに捕まる


暁が死んじゃった。


あそこでは恋華さんの次に居心地のいい場所だった。


あのときは、あのときだけでもまるで自分のお姉ちゃんができたかのような感覚に私はなっていた。


「その遺体はどうするの?」


「憐から聞いた話では近々この山の裏に埋葬しに行くと言っていた。」


(それに私も同行したいな。だけど憐に会うのは怖い。


お兄ちゃん伝えでこのことを伝えてもらおっかな。


でもお兄ちゃんも今すごい忙しいよね。


やっぱり自分の口で言った方がいいのかな。


怖いけどこのままうやむやにはしたくないな。


あのことも暁の能力なら憐の本当の気持ちが知れたい。)


あのときというのは私がここを出ていく前に憐がここの使用人の血を吸っていたことだ。


私はそれを目撃してしまって嫌になってここから逃げ出した。


(そして私は暁に捕まったんだよね。)


「翠ちん。」
< 435 / 466 >

この作品をシェア

pagetop