闇に棲む猫はヴァンパイアに捕まる


横を見ると七彩が私のそばまで来ていた。


「翠ちん。悩むのは分かるけど悩んだばかりじゃ前に進むことはできないよ。かつてのわっちみたいになってしまう。」


「うん、わかった。私頑張ってみるね。緋凪と紅音も応援してくれてるよね。」


「さすが翠ちん。もちろんだよ。たとえいなくなったとしても翠ちんが覚えている限りその二人もちろんわっちも生き続ける。」


「そっか。」


それを言って七彩は小さな肉球を踏み鳴らしながら部屋を出て行った。


私は縁側を出て庭にある池まで行ってそこに架かって居る橋を真ん中まで渡ると空を見上げた。


とてもきれいな快晴の空だった。


(お父さん。お母さん。私これからはちゃんと生きていくから。たとえお母さんたちと同じ種族じゃなくなっても・・・お兄ちゃんもいるし七彩もいる。もう私は一人じゃない。周りにはたくさんの人達がいるよ。)


天国にいる両親に私は笑顔で報告したのだった。










(あ、でもお兄ちゃんのあの引っ付き癖どうにかしてほしいよね。お父さんに似たんだってよ。)

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