闇に棲む猫はヴァンパイアに捕まる
それから池にいる鯉を見ていたら部屋の襖が開くのが聞こえてきてその方向に耳を集中させるとそこには憐が立っていた。
数秒間沈黙が続くと憐から口を開いた。
「久しぶりだな。」
「そうね。」
「体の方はもう大丈夫なのか?」
「ええ。後は軽く運動をしながら体力を戻していけばもう大丈夫だって。」
「そうなのか。」
なんか思っていたよりも話せてる?
でもなんだかまだ怖くて私はまだ憐の顔を見ることができていない。
どんな目で私を見ているのだろうか。
たとえ能力が解けて虚像を見せられていたとわかっていてもそのことで憐は幻滅したりはしないだろうか。
そんないらない考えが私の頭を巡っている。
鯉から目を離せないでいると憐がこちらに向かってくるのが視界に入り慌てて橋を渡り憐から離れた
「近づくな。」