闇に棲む猫はヴァンパイアに捕まる
憐はぴたりと止まった。
私の中の憐は幻覚の中の憐になっていた。
だから心と体の意思と行動が合っていなかった。
「俺のことがそんなに嫌か?」
「近づかないで。今はだれも・・・誰のことも信用できない。しようとしてもできないの。」
本当は抱き着きたい。
憐の隣に立ちたい。
「俺は翠玉の見たモノとは違うんだぞ!?今見ているのが本当の俺だ!」
「わかってるよ!?わかってる!!でもそうじゃないときでも私はただの実験動物だった!!みんな私のことをただの道具にしか思ってない!
なら私の存在意義ってなに?私は何のために生まれてきたの?わかんないよ!誰か教えてよ!私は分かんない。お兄ちゃんも言ってた!私が生まれて来たから不幸になったんだって!?私は不幸しか呼ばないいらない子って言ってた!」
「それも暁に見せられた幻覚だ!あいつが自分の妹にそんなことを言うはずがない!!」
「言わなくても思ってるもん!!絶対に思ってるもん!!研究所でも話しているの聞いたもん。私はただの道具。私がいてもほかの人たちを殺すための道具にしかならない!!
人にだって何回も裏切られて来た!!お父様もそうだった。やっと本当の家族になれたと思った!本当は私は人形としか思ってなかった!!だからもう私は何も信じることができない!!裏切られるのはもうこりごりなの!!」
「もう俺らを信じることはでいないのか?」