闇に棲む猫はヴァンパイアに捕まる


遺体を寝かせている台に近づくと奥の方で何者かがいるのが分かった。


視線を向けると


そこには人間の姿になった暁がそこに立っていた。


『九条憐。あなたには何度感謝してもしきれないわ。』


「別に。俺はただ翠玉を助けたかっただけだ。あそこを潰したのは結果的になったことだ。それと元総理大臣は元々警察からも俺達からもマークされていたからな。」


『それでもうれしいわ。最期はこうしてちゃんと人間として逝くことができる。』


暁の表情は今まで見ていたように厳つい顔をしていなかった。


『研究で使われて失敗して死んでいった子たちの末路を私は知っていたの。

翠玉ちゃんの性能を試すだけの道具にされるか

医療廃棄物として廃棄されるかのどちらかだった。』


『そして私は元々霊感も強くてよく霊体も見えていたの。あの研究所には数えきれてないくらいの無数の霊体がいた。第二次世界大戦のころの霊体も混ざっていたけどその9割はあの研究所で死んでいった私の仲間たちだった。

しかも完全な人間の姿に戻ることはなく同時に成仏もできない。地縛霊になってさまよっていた。』



< 448 / 466 >

この作品をシェア

pagetop