闇に棲む猫はヴァンパイアに捕まる


それで暁は死んだとしても人間の姿になって逝ける。


キメラになった人間にとってはこんなにうれしいことはないだろうな。


「でも俺は元々霊感はない方だ。研究所にいた時だって例の気配は全くと言っていい程霊感がない。なのになんで俺は今暁の霊体が見えているんだ?」


『それはたぶん私が一時的にこの空間を無意識に霊気を満たしていてそれがあなたのヴァンパイアが反応したのかもしれない。』


そうだったのか。


『本当はあなただけではなく翠玉にもあってありがとうって言いたい。でも私の体はまだこの世に存在しているからその場所から離れることができないの。

だから九条憐。

あなたに私の言葉をあの子に伝えてほしいの。』


「ああ。構わない。」


『ありがとう。』


暁は顔を下げた


俺は長文が来るのではないかと少し身構えていると


『そんなに構えなくてもいいわ。ほんの一言だから。』


バレてたか。


『じゃあ言うよ。“翠玉は幸せになってね。バイバイ”』


暁は自分の体を一撫ですると体が薄くなって光となって消えていった。
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