闇に棲む猫はヴァンパイアに捕まる

「ああ。」


そして私達も屋敷に戻ろうと元来た道の方へと歩こうとした。


すると後ろから


『また会うときには本当の親友だといいな。』


そんな声が聞こえて碑石の方に顔を向けるとそこには暁が使っていたキセルと簪(かんざし)がそばに落ちていた。


私は慌ててそれに駆け寄り自分の胸に抱え込んで


「うん・・・うん。絶対だから・・・絶対だからね・・・次、会うときは友達・・・親友じゃないと私も嫌だからね!!」


暁からの最後の贈り物を抱き私は泣き続けた。


やっと・・・暁達のために泣けた・・・


もう会うことがないという悲しさと


最後に暁の言葉が聞けたことのうれしさで涙が止まらなかった。


憐もそんな私を肩に手を添えてただ見守っててくれた。


空にはもう私達のことを遮るような雲はなくなっていて青一色の空がどこまでも続いていた。


私はその空を暁そして顔のわからない両親のことを思っていた。


翠玉Seid終
< 463 / 466 >

この作品をシェア

pagetop