闇に棲む猫はヴァンパイアに捕まる

『翠玉…』


翔お兄ちゃん。


五年前のあの日私と一緒に研究所を逃げて来た唯一の血縁者だ。


私達は元々親を知らない。


だからお兄ちゃんは私にとってとても大きな存在なんだ。


だけど研究所を逃げ出して来た後間もなく私達は離れ離れになってしまったんだ。


〝1年後ここでまた会おう。約束だ。俺は絶対に翠玉を裏切ったりはしないよ。〟


そう言ってその時は私達は別れた。



二人で行動するのは危険な事だからだ。


そして私達はその後すぐ今の育ての親に拾われた。


最初は警戒をして話したりはし無かったけどだんだん過ごしていくうちにこのひとは大丈夫と思い研究所の事を伏せて話した。


それから1年後約束の場所に私は行った。













だがお兄ちゃんは来なかった。












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