ペナルティ

「貴方は私たちと血は繋がってない、でも、それでも、私たちは家族よ」


『家族』ってことばが暖かくて、嬉しくて涙が出た

そんな私を義母さんは優しく抱き締めてくれた


「グスッ…じゃあ、何で婚約者を?」


私が聞くと義父さんが気まずそうな顔をした


「あー…婚約の話は向こうから来たんだ…沖ノ島財閥が相手で断りづらくて…」

「そっか」


“沖ノ島(オキノシマ)財閥”とは、製菓の大手企業

何故製菓の大企業から声がかけられたかわからない

それでも、私はいらない子なんかじゃなかったということが嬉しくて微笑んだ


「でもお前が嫌なら、断るぞ!」

「そうよ、お嫁にいかないでずっと一緒に住みましょう」


一生懸命な二人が面白くてクスクス笑ってしまった


「ありがとう…お父さん、お母さん」


―コンコンッ


家族内の誤解が解けて、お父さんによる軽い診察が終わるとドアがノックされた


「どうぞ」

「失礼します」





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