大好きな桜の木下で

いつもこう。私はもう、こんな環境に慣れてしまったのかもしれない。

もちろんお母さんは私のことはほったらかし。

小学4年生まではお父さんが私を大切にしてくれていた。

でも、ある日私が学校から帰るとお父さんは荷物をまとめていた。

『由美、ごめんなぁ。情けない、お父さんで…。』

そういって、お父さんはさみしそうにふにゃっと笑った。

私はお父さんの、笑う顔が大好きだった。

どうして、私を連れて行ってくれなかったの?

その日からお父さんが帰ってくることはなかった。

そこからだ、お母さんが私に暴言、暴力を振るうようになったのは。

小学生だった私は、まだよくわからなくて反抗したりもした。

でも、その度にお母さんは私を殴りながらこう言った。

『あんたのせいよ、あんたなんて産まなきゃよかった。』
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