学校一の王子の恋愛ゲーム
3
Game.5
「ぬぁぁーー。」
気の抜けた間抜けな叫びをあげて、机にうなだれる優芽。
ここは「S」たまり場、温室。
「やめてよ、こっちまで気が抜けるでしょっ。」
怒る愛衣に、いつも通り本を読み続ける結城。
凜羽に凪は、中庭へ運動(戦い…)へ行っていた。
「ひまだぁーっ。」
「勉強でもしたら?」
「やだ。」
それには即答。何もやる気が起きない、そんな季節が訪れていた。
6月、梅雨。
空気がじめじめしていて嫌い。空は暗いし、いいことなんて何もない。
みんなの気持ちは、きっとこの空のように沈んでるはず…。
「そうでもないけど。」
愛衣が反論。
「俺も。」
本を読んでいたはずの結城までもが愛衣に乗っかる。
「雨結構好きだよ。」
微笑みかけてくる愛衣に、優芽はぶすっと頬を膨らませた。
"どこが?"
そう言いたい気分だった。