学校一の王子の恋愛ゲーム
……………………
と、こちら早速資料室の前です。
『コンコン。』
『………』
廊下には虚しくノック音だけが響いて、まるで無視しているかのように静かなままの扉。
いないのかな…。
それならそれでいいんだけど…。
こないだは鍵閉まってたし、でも開いてるかも…。
半信半疑で、優芽はドアノブを押して右に回す。
引くと、扉は音も立てずに開いた。
「失礼しまーす…」
そっと中を覗き込むと、静かだけれど人の気配があるのにはある。
踏み込んで、後ろ手に扉を引くと扉は「カチャ」という音と共に閉まって、部屋は再び静けさを取り戻した。
部屋をぐるっと一周、見渡す。
ソファーの端に頭を置いて、寝ているらしい恭弥を見つけた。
「あの、学園長。」
「……」
返事するわけないよね。
優芽は納得して、恭弥の側に近寄った。