学校一の王子の恋愛ゲーム
突然まわりの女子から黄色い声が上がる。
この状況なら誰に聞かなくてもわかる、神代恭弥が来たのだ。
凜羽が優芽の肩を叩いた。
優芽は振り返る。
「君に決めた。」
「え?」
優芽は腕を掴まれたことにびっくりして声が裏返った。
艶のある声に、大きなごつい手。
自分はお姫様抱っこされて飛んでいた。
誰もがその光景の瞬間を、口を開けて何も言わずア然として見送った。
とん、と軽い音で恭弥はステージに降り立った。
『なんで、どうして?』
周りの女子から批判の声があがる。
以前は姫を小さいけど大きなゲームで決めていた。
簡単だけど、競争の激しいゲーム。
予定されていたゲームをせず姫を決めてしまった恭弥に批判を言うのは当然のことだった。
恭弥はくるっと正面を向き、優芽をそっと下ろした。
「あたし、姫なんかになる気ないんだけど。」
優芽は強い口調できっぱり言ってステージを降りようと足を踏み出した。
「待ちなよ。」