学校一の王子の恋愛ゲーム
と、あの人たちの長い一瞬に付き合うのは御免なので、あたしは温室にいるであろう愛衣に会いに行くことにした。
…花火、って何時からだっけ?
こんなことなら、少しは企画書読むんだったな。
なーんて。
「あ。」
あ。…?
あ。
「結城。」
「…何してんの?」
「そっちこそ。」
「俺の勝手。」
あー、へい。
そーですかい。
「優芽は何してる?一人で。」
「置いてかれて一人になってる。」
ぷ。
結城が吹き出すように笑った。
「ははは。まじで?」
「見ればわかるじゃんか。」
そーですね。
笑っていた結城はすぐ落ち着いて、満面の笑顔を浮かべて言った。
「一緒行こうか。」
「…行ったげてもいい。」
差し出された結城の手を取る。
「まずは腹ごしらえだな。」
あたしは結城に手を引かれるままただ歩いた。