俺様不器用男子の甘い愛情
□どんな時もやっぱお前が必要
【茉璃side】
寒さに手を擦り合わせながら、12月の寒空の下を小走り。
学校の下駄箱でくつを履いてると、大好きな後ろ姿。
寒さなんてどうでもよくなっちゃいます。
「隼世くん!おはよっ」
「……ん、はよ」
心なしか冷たく感じる挨拶。
やっぱり……まだ落ち込んでるの?
一人で抱え込んで責任感じてるの?
けど、きっとぐいぐい傷に触れるのはただのお節介。
あたしは隼世くんが早く元気になってくれるように努力しなきゃ。
「隼世くん……あのっ、英語の宿題やりました?」
「あー……忘れてた。やってねぇわ」
「へへっ!あ、あたしも忘れちゃったんです!一緒ですねっ」
「恭平にでも見せてもらうか」
そんな無理して笑わないでよ……。
精一杯してる作り笑いが胸に突き刺さり、あたしが悲しくなる。
隼世くんがこうなった事の発端はつい1週間前。
サッカーの公式試合で負けてから。
“3年生を差し置いてのスタメンフル出場なのに負けてしまった”
それで、とても重たいほど責任感じてるみたい……。
隼世くんのせいじゃないのに……。