俺様不器用男子の甘い愛情
□大好きな君のためなのです
【隼世side】
有り得ない。
今日は4月1日のエイプリルフールでもないはずなのに。
5月の生暖かい風が俺の頬を掠める。
体育館裏には、ただ呆然と立ち尽くす俺と俯いたままの茉璃。
たった数秒前に言われた言葉。
溶けることなく突き刺さってる。
「別れて下さい……」
また繰り返されるさっきと同じ言葉。
嘘だろ?
ここ何日間かで、俺茉璃に嫌われるようなことしたか?
心当たりがなんもねぇ………。
「変な冗談言うなよ……」
「本当です…」
「お前が嫌だって思うとこ全部直すし謝る。だから……離れんなよ」
嘘だ、って信じ込みたくて。
震える指先で茉璃の小さな体を力いっぱい抱きしめた。
だけど─────
「有阪くんと付き合ってるの…!」
大好きな子から、大好きな声で言われた残酷な現実。
なんでアイツ?
ついこの前まで、俺だけだって言ってたじゃん。
頭がついてかない………。