俺様不器用男子の甘い愛情
□消毒するに決まってんじゃん
【隼世side】
6月特有の梅雨時期。
最初は部活をしてたものの、グラウンドが雨でやられて急遽中止に。
中途半端な時間に、ジメジメしてる駅で帰りの電車を待つ。
試合近いのに、こんな天気じゃ困る………。
駅のベンチに座り、ボーっとしてると少し遠くに見覚えのある女の子。
髪から制服から………とにかく全身びしょ濡れだ。
あれ……茉璃じゃね?
確かに俺らはもうとっくに別れてるけど、こんな時までほっとけない。
「茉璃じゃん。どうした?」
部活のジャージを肩に掛けてやる。
アイツは何も言わずにただ首を振った。
「……何でもないです」
「嘘つけ」
「ほんとに……大丈夫ですから」
「あのな~……一応俺だってお前の元カレだぜ?結構長く付き合ってたし、気付くっつーの」
「うん………」
確実に様子おかしすぎ。
駅は同じでも、茉璃が乗る電車と俺が乗る電車は違う。
それに茉璃はもう有阪の女。
分かってるけど、今日は茉璃を一人にしちゃダメな気がして………。
「行くぞ」
俺んち方面の電車に引っ張った。