俺様不器用男子の甘い愛情



部活棟で後輩達に見送られたあと、隼世くんは部室の方向を指差した。


「部室行っていい?取り忘れたモノある」

「いいですよ。それにしても、隼世くん慕われてますね~」

「悪い気はしねぇよな」

「うんうん。良いことです」



部室に行くと、ロッカーから制汗剤やタオルなどを取り空にする。


そして『伊吹』のネームプレートを外した。


ほんとに………サッカー終わっちゃったんですね……。


隼世くんは、サッカー大好きだったから一番寂しいでしょうね。



「あ~………つら」

「……お疲れ様でした」

「ん、サンキュ」


いつもと様子が違う…?


天井を仰ぐようにして、あたしに背中を向けた。


「…胸、貸しましょうか?」

「じゃ、背中で」



あたしを後ろから抱きしめる形で、ぎゅっと抱きついた。


ツライよね。


頑張ったら、頑張った分だけ負けた時の代償は大きくて………


泣きたいほどツライよね。


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