俺様不器用男子の甘い愛情



あたしと隼世くんの二人しかいない空間。


静かな部室に響くのは、誰よりも頑張った主将の悔し涙を啜る音。



やっと、弱いところ見せてくれました。



「振り向くなよ……絶対」

「はい。振り向きませんよ」

「……ツライ。普通にツライ。止まんないんだけど…」

「それは頑張った証拠です」


あたしも泣きそう。


だって、隼世くんが練習とか人一倍に頑張ってたから。


主将としての責任感もすごいあった。


あたしに出来ること……それは……。



「疲れたね。お疲れ様……」


振り返り、隼世くんを正面から抱きしめた。


これが、今のあたしに出来る精一杯のこと。


「茉璃……ごめん」

「ううん。謝らないで」

「マジでダサイ。茉璃の前で、こんな風になりたくなかった」

「弱さ見せてくれない方が嫌です」



力いっぱいぎゅうっと抱きしめると、隼世くんはあたしの頭を撫でてくれた。


「ありがとな、茉璃」



この人は本当にカッコイイ。


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