俺様不器用男子の甘い愛情



駅の冷たいベンチに腰掛けても、手は繋いだままで。


寒いはずなのに手はあったかい。


「寒い……」

「でも電車早く来てほしくないんだろ?」

「もちろんです。隼世くんといる時間削りたくありません!」

「おー。随分と積極的じゃん」


からかえば、ぷくっと頬を膨らませた。


かわいい………。


駅のホームに誰もいないからいっか。


茉璃の肩をぐいっと引き寄せて、ぎゅっと抱きしめる。


「は、隼世くん!」

「寒いならいいじゃん。俺も寒いしちょーどいい」

「その………恥ずかしいかも、です…」

「茉璃のが積極的なのに?」

「積極的じゃないもん!」


好きな子いじめんのって楽しいのな。


いじける茉璃がかわいくてつい、いじめ過ぎちゃうわ。



俺の肩にこてっと頭を乗せて、照れくさそうに笑った。


「会えない間、浮気しちゃダメですよ」

「お前こそ他の男に目移りすんじゃねぇよ」

「あたしな一途ですもん!」


確かに茉璃は一途でいてくれてるよな。


俺も前に比べれば一途になったと思うよ。


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