俺様不器用男子の甘い愛情
多分、一途でいられる理由は茉璃だろうけど。
茉璃じゃなかったら、こんな一途にずっと好きでいるってことねぇもん。
「隼世くん。受験終わったら、ぎゅーってして下さい!」
「受験終わったらじゃなくてもいいじゃん。俺今がいい」
「いっ、今ですか!嬉しいけど………」
「けど?」
「ご褒美にしたかったのにーって」
「じゃ、受験終わったらチューで」
顔を真っ赤にして、それを隠すように俺に抱きついた。
しばらく会えないんだし、ぎゅーぐらいさせろ。
俺が受験終わるまで待てない。
俺らの空気を壊すようなタイミングで到着した電車。
ぎゅっと強く俺にしがみつく茉璃。
「あのっ…」
「ん?どした?」
「迷惑じゃなかったら……1本電車送らせていいですか?…まだ、隼世くんと……いたい」
「はぁ~……次で絶対帰ろよ?お互い風邪引いたら困るし」
「はい!ありがとう!」
ほんとは帰らせたくない。
だから、茉璃の言葉が嬉しかったり。
俺、どんだけ茉璃に甘いんだよ!
離れたくない、って繋がれた手を握りしめて電車を見送った。
受験まで頑張りますかー……。