俺様不器用男子の甘い愛情



多分、一途でいられる理由は茉璃だろうけど。


茉璃じゃなかったら、こんな一途にずっと好きでいるってことねぇもん。



「隼世くん。受験終わったら、ぎゅーってして下さい!」

「受験終わったらじゃなくてもいいじゃん。俺今がいい」

「いっ、今ですか!嬉しいけど………」

「けど?」

「ご褒美にしたかったのにーって」

「じゃ、受験終わったらチューで」


顔を真っ赤にして、それを隠すように俺に抱きついた。


しばらく会えないんだし、ぎゅーぐらいさせろ。


俺が受験終わるまで待てない。



俺らの空気を壊すようなタイミングで到着した電車。


ぎゅっと強く俺にしがみつく茉璃。


「あのっ…」

「ん?どした?」

「迷惑じゃなかったら……1本電車送らせていいですか?…まだ、隼世くんと……いたい」

「はぁ~……次で絶対帰ろよ?お互い風邪引いたら困るし」

「はい!ありがとう!」


ほんとは帰らせたくない。


だから、茉璃の言葉が嬉しかったり。


俺、どんだけ茉璃に甘いんだよ!



離れたくない、って繋がれた手を握りしめて電車を見送った。


受験まで頑張りますかー……。


< 323 / 334 >

この作品をシェア

pagetop