俺様不器用男子の甘い愛情
残念そうな泣きそうな顔で俺を見上げる。
この角度、かわいいなおい。
もっといじめてやりたいけど、これ以上はさすがに可哀想。
それに、こんな残念そうな顔で見られたら期待するし……。
「キス出来ないですね……」
「別に空き教室じゃなくても、出来るだろ。茉璃さえ良いなら」
「む、無理です!!恥ずかしい……」
「だったらまたあとでな~。もう時間だし教室戻るぞ」
「はーい」
やっと、俺から茉璃の手を繋いだ。
手繋ぐことぐらい付き合いたての頃から気にしなかったのに、今すげー緊張する……。
廊下を歩く度に、男が茉璃に向ける視線と聞こえてくる声。
「あんなかわいい子いたっけ?」
「めっちゃ美人だ……」
「でも、手繋いでんの彼氏だろ?」
そう俺が彼氏。
だから、もう茉璃のこと奪えないっつーの。
「なんだか……卒業式って寂しいね」
「そうだなー。卒業したら一気に環境変わるし」
「玲菜とも離れちゃうから……。あと、隼世くんとも…離れちゃう…」
「大丈夫だって。……泣くなよ~」
大きな目から涙が溢れる。