俺様不器用男子の甘い愛情
結局のところ、あたしはホットココアを両手に包んでるだけ。
正直、ホットココアはあんまり好きじゃないから……。
「玲菜。ココア飲む?」
「え!いいの~?あれ?茉璃の飲み物は?」
「いらないよ。このココアも、有阪くんに温かい飲み物勧められて買っただけだから!」
「じゃあ、もらうね!……でもね、茉璃」
「んー?」
休み時間の人が少ない教室に、玲菜の声が響いた。
もちろん、その言葉は何も考えてなかったあたしの心……にも。
「好きって全部を合わせることかな?意見を全部合わせることは違う気がする……」
「確かに……。あたし有阪くんに合わせたかも……」
「それなら……伊吹くんの方がよっぽどいんじゃない?」
一瞬、頭の中で隼世くんの顔が浮かぶ。
ううん!
あたしが好きなのは有阪くん……
有阪くんで……いんだよね?
「無理して思い込ませる必要ないでしょ~!」
「そんなこと……してないよっ」