俺様不器用男子の甘い愛情



南のバス停に並ぶと、こんなことってあるんですね……。


目の前にはスマホをいじってる隼世くん。


多分、あたしになんて気付かないよね………

大丈夫、大丈夫………


「……茉璃じゃん」

「はっ、はい!?」

「どうだった?大好きな有阪との帰りは?」

「し、知ってるの……?」

「嫌でも視界に入ったし」


ぷいっとあたしから目を逸らす。


自分から話し掛けといて何ですか、この態度!


あたしも下を向いて目を逸らした。



「おい、茉璃」

「ん?」

「……ドン底見ても知らねぇよ?お前が傷付いても助けないし」

「助けてもらう気ありませんからっ。有阪くんはそんな人じゃないもん」

「っ……そんなヤツだから言ってんだよ!この鈍感女」


ど、ど、鈍感女!?

もう隼世くんなんて大嫌いです……。


あたしは同じバスに乗らずに、わざと1本逃した。


隼世くんはどうしてあんなに優しい有阪くんを疑うの?


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