道化師の宴
階段をすべて駆け上がったとき、僕たちはなにかの異変に気づいた

「氷雨…やけに静かじゃないか…もしかして真司」

「それ以上言ったら怒るぞ」
僕はいつにもなく怒りを顕にしていた

「今はそんなこと考えても…しょうがないんだよ」

僕のその一言で空気が歪んだ気がした

暫くの間、重たい空気が僕たちの体をすり抜けていった

―――ピピピピピッ…
突然の音に僕たちは挙動が不信になった

「なんだ…僕の携帯か」
僕の声は完全にかすれていた

その着信は玲からのものだった
“もしもし?悠吾から聞いたけど興味深いから俺も今からいくわ!”

僕が返事をする前にその電話は途切れていた

まるで何かが罠を仕掛けているように
< 10 / 15 >

この作品をシェア

pagetop