道化師の宴
「真司は…もう真司のことは考えないでおこう…」僕の声は渇き切ってまるで蚊の鳴くような声になっていた

「取り敢えず…今は僕達がどうしたらいいかを考えよう…」

僕はふと書斎の扉に目を向けた
10歩したらつくくらいの距離にそれはあった

その扉に不自然に挟まっている謎の紙切れ

―――罠かもしれない

僕が行動するより早く悠吾が行動を起こしていた

扉の紙切れをすっと抜き、こう言った

「この屋敷から出られるかもしれない…このメモさえあれば…」

僕は息を呑んだ

「でられるのか?僕にも見せてくれよ」
僕が悠吾に歩み寄った次の瞬間だった

僕の腕から鮮やかな水滴がこぼれ落ちた
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