道化師の宴
「さっきは、走れないくらいに痛がってたよな?何故今はそんなに動けるんだ」
僕はうずくまっていた体をゆっくりと持ち上げる

コンタクトが霞んで焦点が合わない…
そうじゃない、霞んでいるのは悠吾本体だけだ

「真司っ!離れろっ!」
その瞬間、悠吾の正体が顕になった

「よく見破ったね…?虫螻くん」
醜い男の姿がそこにはあった

「悠吾をどこにやったんだ?」
僕は息を荒くして問いかける
腕にはまだ血が滴っている

「さあ、どこだろうね?」
男の返答に僕の流れる血の量が増す

「ふざけんなっ…!」

先に声をあげたのは真司だった
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