道化師の宴
「ホントに中に入るんだな?」
僕は更に念を押す

「何やってんのー?氷雨も早く来なよー」

美咲たちはすでに峠の中に入ってしまったようだ

色々考え過ぎて置いていかれたらしい

「ちょっと!今行くからそこで待ってろよ!動くなよ!」

僕は全力で声の聞こえた方向に走り抜けた

「嘘だろ…誰もいないなんて…」

本当に誰もいない…辺りは暗く静まり返っている

「うわっ…!!」

足に何かベトベトしたものがまとわりついて離れない

「やめろ!離せっ!」僕は護身用のナイフをその物体に投げつけようとした


その時


「おい!危ないな!いくらなんでもそこまで怖がるかー?」

悠吾が茂みの中から姿を現した

見ると手にはゴム手袋を付けている
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