恋がしたい。
店長は、沸かしたてのコーヒーを、
あたし専用のリラックマのマグカップに丁寧に注ぎ、
「まぁ、飲みなよ…」
と、あたしの前に出した。
同情の眼差しが、イタイ。
ここのスタッフは店長と
あたしだけ。
小さな町の片隅にある、小さな美容室だからね。
オーナーは店長の旦那さんで、滅多に顔を出さない。
今日の予約は午後からだけだから、午前中はのんびりできる。
お客さんが来るまでの間、
泣きながら店長に
思い出話を聞いてもらった。
店長は32歳で、ちょうどあたしの10コ上。
超大人の女性って感じ。
「わかった!とりあえず今日ヒメちゃんが
なんとか仕事頑張れたら、
飲みに連れてってあげるから」
「本当ですか?!」
その言葉に食いついた。
お酒でも飲めば
この気持ちが和らぐかなぁなんて
思ってたからさー
さすが店長。