来い恋
一足先に帰宅したが何だか夕食を作る気分にはなれなかった。
でもこのままじゃ本当に晩御飯は卵かけご飯になりそうと
重い腰をあげ夕飯を作り始めた。

私はなにを悩んでいるのだろう。
出向の話が出ている事を内緒にされた事へのショック?
それとも最初の出向を断った理由が私だったという罪悪感?
・・・今回の話も蹴ったら出世は望めなくなり、最悪左遷・・
その決断に自分が大きくかかわっている事への不安?
・・・このどれかだなんて選べない。
だってどれも当てはまるんだもん。
私は何度目かの溜息をついた。

もし亮輔さんから一緒に付いてきてくれと言われたら、
私は何て答えるだろう。
正直、海外旅行も言った事ないし、言葉もわからない
そんなところで亮輔さんと2人きりで生活するのは不安だ。
でももし、私が日本で待ってるって言ったらどうなるだろう。
日本国内でさえ遠距離恋愛は難しいと聞くのに
これが海外ともなると・・・・亮輔さんはモテるからそれも嫌だ。
亮輔さんなら無理に私を連れて行こうなんて思っていないだろうから
私が行きたくないと言えば行かないと言いそう。そうなると・・・
亮輔さんは優秀なのに課長どまりで最悪みんなが嫌がる様な部署への左遷
それも私の我儘で・・・
あー私どうしたらいいの?
頭を抱えてうなだれた。
その時ふと今日柴田課長が言った言葉を思い出した。

『原田が君の事をずっと好きだった事も、念願かなって付き合って・・・
今一緒に暮らしている事も知ってる。』

ずっと好きだったって言ってたよね。
そういえば前にもそんなような言葉を亮輔さんが言っていたけど
一体いつから私の事好きになったんだろう~
そう思うと何だか無性に聞きたくなった。
出向のことも気になるところだけど
こっちも気になる。
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