来い恋
「なんでそれを?」
「柴田課長から聞いたんです」
亮輔さんはチッと舌打ちをした。
それから少しの沈黙の後に口を開いた。
「焦ってたんだ。実は君が20の時に相談に行ったのは出向の話もあったからなんだ。
だけど君のお母さんに反対された。でも諦められなかった。
もし俺が出向している間に好きな男が出来たらと思ったらとてもじゃないが
海外で仕事なんかできなかったんだ。」
亮輔さんは私の手を握り
「柴田課長から聞いてるかもしれないが、実はまた出向の打診があった。
ロンドンだ。いつ日本に帰ってこれるのかは正直わからない。
その前にどうしても芽衣を俺の物にしたかったんだ。」
亮輔さんは私を抱きしめた。
「俺はずるい男だ。君を自分のものにするために手段を選ばなかった。」
「・・・でも私はあなたを好きになった」
「やり方はよくなかっただろう?」
「そうですね。いきなりお見合い・・・同棲・・・短い時間にいろんなことが
ありすぎて付いていくのに必死でした。」
「ごめん」
「でも・・・楽しかったです。」

今までの亮輔さんの話で私はあんなに悩んでいた事が
嘘のように心が晴れ晴れとしていた。
私の中で答えが見つかったからだ。
きっとこの先これ以上私を愛してくれる人は現れない。
そして私もこの先、彼以上の人を好きにはならないだろう。
だって私の淡い初恋の相手が目の前にいる。
それが亮輔さんなのだから・・・
それこそ恋愛マンガを地でいっている様なものだ。

私が黙っているから亮輔さんの顔が不安な顔へと変わっていくのがわかった。
ちゃんと言わなきゃ。
「亮輔さん・・・私ロンドンに行ったらバッキンガム宮殿と~大英博物館・・
・・あとそうそう!ロンドン・アイにも乗りたい」
「芽衣?」
「私・・・英語苦手なんでフォローしてくださいね。あ!イギリス料理ってまずいんですよね。
日本食たくさん持っていかなきゃ。」
「芽衣」
「私は・・・一緒に行ってもいいんですか?それとも留守番ですか?」
その瞬間な私は亮輔さんに唇を奪われていた。
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