来い恋
そんなことを悶々と考えてたら眠れなくなっていたのでした。

そして誰もいない事務所の亮輔いや原田課長の机の前で
いろいろと考えてしまっていた訳ですよ。


「おはよ」
耳元で囁やかれ、驚いて振り向くと亮輔さんが私の真横にいた。
「お・・おはようございます。原田課長」
ちょっと心臓に悪いよ・・・って
朝から昨夜読んだマンガを思い出してる自分もどうかと思うが
「俺の机の前で何ボーっとしてたの?もしかして俺の事考えてた?」
何言ってんですか!
それにここ会社ですよ。
あたりを見渡すと事務所には課長と私の二人だった。
でもどこでだれが見ているかわからない。ここは敵だらけ
「べ・・別に何も・・そ・・それよりも近いですよ。誰が見てるかわからないんですから・・・」
「・・・いや、ここ俺の席だからさ~~カバンも置きたいんだけど」
あ!すっかり忘れてた。ここ課長の机だったんだ
「すみません!」
慌てて机から離れて隣の主任の机を拭く。
あーはずかしい。
「今日、早番だよね」
カバンからファイルを出しながら仕事モードで聞かれた。
誰が見てるかわからないから私も事務的に答える。
「はい。そうですが何か?」
「わかった。ところで、この伝票の控え外商の増田課長に渡してくれ。
今日、10時には出るそうだ。大至急ね」
そういって伝票を渡された。
忘れるとまずいのですぐに書類を入れるボックスに入れようとすると
お役様控えの伝票にメモがくっついていた。
そこには
亮輔さんの携帯の番号とメルアド
そして
「芽依へ
 今すぐこれを登録し電話はワン切り、空メールを送って
 仕事が終わったら食事に行こう・・・」
書類にメモって
なんかこれってマンガの定番シチュエーションじゃん。
またキューって痛くなった。
でもここは職場です。
キューは極力抑えなくっちゃ。

その後ぞろぞろと社員たちが出社してきたので
私はあいさつもそこそこにトイレに駆け込み
亮輔さんにワン切り、空メールを送った。
すると間もなく
亮輔さんからメールが届いた
「今日は恋人繋ぎ実行。仕事が終わったら裏通りのカフェ「オンブラージュ」で待ってて」
う・・・そうだった恋人繋ぎだった。
何だかなんかのゲームのクエストみたい。
このままクエストクリアしてくと最終的には昨夜読んだマンガの様な事が・・・
あーだめだー!すぐ思い出しちゃう。
あんなマンガ読まなきゃよかった・・・深いため息と共に眠気は吹っ飛んだ。
< 30 / 176 >

この作品をシェア

pagetop