来い恋
びっくりして亮輔さんの顔をみると繋いだ手を肩のすぐ下あたりまで上げ
満面の笑みでこれが恋人繋ぎだからねといってその手を繋いだまま下ろした。

「芽依の大変さはわかったよ。たしかに俺は女性社員から物をもらった事もあるし
交際を申し込まれたりもよくある。
その陰で芽依が嫌なお願いをされている事は知らなかったと言えば嘘に・・・なるな」
知ってたんだ・・ちょっとショック
「付き合ってる事はしばらく伏せるよ。そのかわり2人で会うのも
こそこそしなくちゃいけなくなるよ。それは理解してね。
もしかすると伏せている事が今以上のストレスになる時がくるかもしれない。
それも覚悟出来るなら俺はばれないようにする。絶対に」
亮輔さんの顔は真剣だった。
ばれないように付き合うってことは思っている以上にきっと大変なことなんだと・・・
彼が言うように続けていくうちに隠す事が今以上にストレスになることだって
無いとは言えない・・・でも
「私は大丈夫です。」
絶対にばれないようにして頑張ろうと・・・大丈夫の言葉に力を込めた。
亮輔さんは私の返事にクスッと笑うと顔をあげ空を見上げた
「芽依・・」
「はい」
「お互いの気持ちが一つになってお互いが必要不可欠になった時は
俺は芽依とのことみんなに話しするからね。それまではばれないようにするよ。」
それは結婚するときってこと?
ドキッとした。
今日の亮輔さんは昨日のいじわるっぽい顔じゃなくって
真剣でいつもよりかっこよさが2割増しでした。
「はい」
私は返事と共に握られた手を少し強く握りしめた。
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