来い恋
四宮さんの姿が見えなくなると
私はハーッと深いため息をついて壁にもたれかかった。
そんな私をみて亮輔さんは「上手に言えたじゃん。アドリブ付きで」って笑い混じり言う。
「課長、いつからきいてたんですか?」ちょっと信じられないよ
「ん?・・・『で?誰よその女』あたり?」
それって最初からいたってことじゃん。
「だったら何でもっと早く出てくれなかったんですか?」
本当にやさしいんだかいじわるなんだかわかんないよ。
口を尖らせて亮輔さんを睨みつけた。
「本当に俺の言うとおり上手にできたよ」
よしよしと頭をなでられるがまったくもってうれしくない。
「そんなに不貞腐れた顔するなよ。」
亮輔さんは私の耳元に顔を寄せ
「ご褒美あげるから・・・楽しみにしてて」
と囁くと最後に耳にチュッとキスをし
手をヒラヒラさせながら売り場の方へ歩いて行った。

ご褒美あげるから・・・て言ってたよね。
耳にチューしたよね。
亮輔さんのご褒美がケーキやアイスクリームじゃないってことは
経験の少ない私でもわかった。
そう思った途端全身がカーッと熱くなり、どんなご褒美が待ってるのか
考えただけで怖くなった。
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