来い恋
もう完全に命令だよ。私の意見とか無視なのか?この親は・・・
ショックで返事もできなかった。
『芽依・・・・芽依?聞いてる?』
「・・・・・・・・・・聞いてるよ」
『それで相手の方の写真と釣書を今日郵送したからね。絶対お見合いしてね。』
あ~~事後報告なのね。
「母さん」
『何?』
「会ってからならお断りしてもいいんだね」
『そりゃ~会っても気に入らなければいいけど・・・断るかしら』
電話から聞こえる母の声がやけに含みのある言い方だった。
「断るかしらって・・・何よ!その言い方・・・なんかあるの?」
『私だったら即OKかも。あ~~もう20歳くらい若かったら
私があんたの代わりに見合いしたいくらいよ』

思わず固まってしまった。
だったらそうしたら?とも思ったがここはぐっとこらえた。
「ところで私の写真とかはどうしたの?」
『それはもうお父さんが渡しちゃったわよ。それであんたの事気に入ったみたいだから
今回この話が出たわけよ。渡したのは成人式の時の写真だけどね。フフフ』

フフフって何よ・・・・フフフって
当たり前のように話す母にもう何も言えなくなった。
「あっそう・・・もういいわ。・・・と・に・か・く私は断ること前提で
 今回は会うけど今後、こんな事後報告的なやり方はやめてよね!」
 念を押すように言ってみたが
『はいはい』
母よ、はいは1回ってあんたが教えたんじゃないの?
あんたがそれ言ってどうするよ。
と突っ込みたくなる気持ちはとりあえず飲みこんだ。
そして母は言いたいことだけ言ってさっさと電話をっ切った。
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